体験型シリーズ

「あなたなら見抜けますか?」

その280万円を取り戻せ

本記事はフィクションです。登場する人物・団体・企業は実在のものとは関係ありません。特定の企業・事件を描いたものではなく、複数の事例を参考に構成した創作です。

大川、42歳、会社員(独身)

大川は、ごく普通の会社員だ。特別に贅沢な暮らしをしているわけでもなく、かといって困窮しているわけでもない。ただ、老後のことを考えると、少し不安があった。年金だけでは足りない気がする。だから数年前から、少しずつ投資に興味を持つようになった。

そして半年前。大川は投資詐欺に遭い、280万円を失った。

警察には相談した。担当者は丁寧に話を聞いてくれたが、「捜査には時間がかかります」と言われた。銀行にも連絡した。しかし、一度振り込んでしまったお金は、もう戻ってはこなかった。

280万円。大川にとって、それは決して小さな金額ではない。

大川は、それでも「もう終わったこと」として、前を向こうとしていた。

「仕方ない。授業料だと思うしかない。」

そう、自分に言い聞かせながら。

けれど夜、ふとした瞬間に、頭の中で同じ言葉が繰り返される。

本当に、もう取り戻す方法はないのか。

ある夜の検索

眠れない夜。大川はスマホを手に取り、検索窓にこう打ち込んだ。

「投資詐欺 お金 取り戻す方法」

検索結果の上のほうに、あるサイトが表示された。

「投資詐欺の被害金、取り戻せる可能性があります」

「まずは無料相談から」

サイトには、こんな言葉が並んでいた。

・投資詐欺、被害金回収に強い専門チーム
・相談実績1,200件以上
・「諦めていたお金が戻ってきました」という利用者の声
・「まだ諦めないでください」

一度は「もう終わったこと」と自分に言い聞かせていたはずなのに、大川の指は止まらなかった。何度も、何度もページを読み返した。

心のどこかで、大川は思っていた。

怪しい気もする。でも、もし本当だったら……

さあ、ここで、あなたに聞きたい。

▼【判断する】
押した瞬間、カウントダウン開始。

第1問 制限時間 15秒 15

あなたなら、このサイトを見つけたとき、どうしますか?

無料相談、そして最初のお金

大川は、結局——申し込んだ。

話を聞くだけなら。

自分にそう言い聞かせて。

担当者は、いきなりお金の話をしなかった。それどころか、驚くほど親身に話を聞いてくれた。

「それは本当に大変でしたね」

「まだ諦める必要はありません」

その言葉に、大川は少し救われた気がした。警察や銀行の、事務的な対応とは違う。自分の話を、ちゃんと聞いてくれる人がいる——そう感じてしまった。

さらに、振込先や送金日時、相手とのやり取りについて細かく聞くなど、こうした被害の相談には慣れているように感じた。

そして数日後、担当者から連絡が来る。

「大川さんの資金を追跡できる可能性があります」

ただし、本格的な調査には着手金として5万円が必要だという。

大川は考える。

280万円が戻ってくる可能性があるなら、5万円くらい……

▼【判断する】
押した瞬間、カウントダウン開始。

第2問 制限時間 12秒 12

あなたなら、どうしますか?

もう後には引けない

大川は、5万円を振り込んだ。

数日後、担当者から連絡が来る。

「資金の流れを確認できました」

「海外の口座に移されている可能性があります」

担当者は、送金経路や海外口座について説明し、調査結果らしき資料も送られてきた。

もっともらしい説明。専門用語。複雑な図。

大川には、それが本当なのかどうか判断できなかった。

ただ、一つだけ確かなことがあった。

「調査は進んでいる」

大川には、そう見えた。

そして、担当者が続ける。

「さらに追跡するには、追加調査費として12万円が必要です」

12万円。

ここでやめたら、あの5万円も無駄になる……

その心理が、静かに大川の背中を押していた。

▼【判断する】
押した瞬間、カウントダウン開始。

第3問 制限時間10秒 10

あなたなら、どうしますか?

230万円が回収できる……

大川は悩んだ末、12万円を支払った。これで支払った金額は、合計17万円。

本当に大丈夫なのか。そんな不安は、まだ心のどこかに残っていた。

しかし数日後、担当者から連絡が来る。いつもより少し明るい声だった。

「大川さん、進展がありました」

「280万円のうち、約230万円を回収できる可能性があります」

大川にとって、初めて具体的な金額が提示された瞬間だった。

230万円。本当に戻ってくるかもしれない。

そう考えた瞬間、大川の中で、これまで感じていた疑いよりも期待の方が大きくなっていった。これまで支払った17万円も、無駄ではなかった。

しかし、担当者の話には続きがあった。

「ただ、回収した資金を大川さんに戻すためには、最後の手続きが必要です」

そして告げられた。

「回収手続きに、25万円が必要です」

これまでに支払った金額は、5万円+12万円=17万円。さらに25万円を払えば、合計42万円になる。

でも、230万円が戻ってくるなら……

大川の判断が、大きく揺れる。

▼【判断する】
押した瞬間、カウントダウン開始。

最終問題 制限時間 8秒 8

あなたなら、どうしますか?

その正体は——

最終問題が終わったところで、はじめて明かしたいことがあります。

あなたが今、大川と一緒に体験してきたもの——それには、名前があります。

▼【その正体は?】

「被害回復詐欺」

投資詐欺で280万円を失った大川。

その「280万円を取り戻したい」という気持ちにつけ込まれ、5万円、12万円、25万円と、さらにお金を要求されました。

すべて支払っていれば、追加被害は42万円。

「お金を取り戻す」という言葉を使って、さらにお金を奪う——これが被害回復詐欺です。一度詐欺の被害に遭った人が、「被害金を取り戻せる」などと持ちかけられ、再び狙われるケースもあります。

タイムトライアルの種明かし

ところで、気づいたでしょうか。

最初は15秒。次は12秒。10秒。そして最後は8秒。

問題を進めるごとに、あなたに与えられた時間は、少しずつ短くなっていきました。

これは単なるゲームの演出ではありません。

詐欺師は、しばしば「考える時間」そのものを奪おうとします。

「今なら間に合います」

「今日中に手続きしてください」

「今やめると、これまでの調査が無駄になります」

「この機会を逃すと、回収できなくなります」

こうした言葉によって、人は焦らされます。そして焦るほど、冷静な判断は難しくなっていきます。

今回のタイマーは、その感覚をほんの少しだけ、疑似的に体験してもらうための仕掛けでした。

もう一つの選択肢

4つの問いへの回答をもとに、あなたの「守る力」を集計してみましょう。

あなたの合計 __ pt / 70pt (自動計算)

60〜70pt:かなり冷静に判断できた
40〜59pt:危ない場面はあったが、回避できた
20〜39pt:相手の術中に入りかけていた
0〜19pt:被害に遭っていた可能性もある

そして、最後にもうひとつ

実は、このゲームには——

A・B・C・D以外の選択肢がありました。

それは、

▼【もう一つの選択肢を見る】

「【判断する】ボタンを、一度も押さない」

守る力100pt

目の前に選択肢があると、私たちはその中から「正解」を探そうとします。

でも、ときには——

決めない。払わない。その場から離れる。

それも、自分を守るための大切な選択です。

今回の本当の「守る力」は、ボタンを押す前に立ち止まることだったのかもしれません。