はじめに
会社員を続けながら、副業として個人事業主を始めたい方に向けて、その手順をまとめた。この内容が少しでも皆さんの背中を押す助けになれば嬉しい。
ただ、白状すると、私自身も会計ソフトを使いながら試行錯誤中なので、誤りがある可能性がある。大事な部分は国税庁のサイトや税務署でも確認してほしい。あくまで「こういう流れなんだ」という地図のようなものとして見ていただければと思う。
まず、個人事業主の「開業届」は無料で、費用はいっさいかからない。
青色申告承認申請書の提出も、手数料は0円。
① まず「何で収入を得るか」を決める
副業というと、「撮影・動画編集・ブログ・YouTube・デザイン・ライティング・コンサル・物販」などが思いつく。私の場合は、偶然、撮影の仕事に出会うことができた。
→ Vol.1を読む
「好きなこと」や「やりたいこと」がぱっと思いつけば問題ないのだが、それは少数派だと思う。そんなときは、「どのくらい稼げるか」という視点から副業の相場を調べてみるのも面白いかもしれない。また、自分のこれまでの経歴をChatGPTなどに入力して、AIに相談してみるのも一つの手だ。

参考までに、両学長のリベ大おすすめ副業19選(2026年版)
https://www.youtube.com/watch?v=jsFZuWYjqAU
② 屋号、開業日を決める
まず、仕事が決まったら、自分の屋号を考えてみよう(必須ではない)。
屋号とは、個人事業主が仕事上で使うビジネスネームのことだ。会社でいう「社名」にあたる。法人と違って登録費用はかからず、自由に決めることができる。名刺や請求書に記載したり、銀行口座の名義に使ったりすることもできる。
次に、開業日は「今日から副業を始めます」と決めた日で問題ない。初めて案件を受けた日や、収益化できた日を開業日にする人もいる。あまり難しく考えすぎず、「動き出した日」くらいの感覚で大丈夫だ。
※ひとつ大切な心構えとして——開業届を出す以上、気持ちのうえでは「副業」ではなく「本業のひとつ」というスタンスで臨んでほしい。
③ 税務署へ「開業届」を出す
提出するもの: 個人事業の「開業・廃業等届出書」
提出先: 税務署
提出方法: 持参・郵送・e-Tax・会計ソフトなど
副業や個人事業主の方には、会計ソフトを使ったオンライン提出が一番手軽でおすすめだ。
- freee開業
- マネーフォワード クラウド開業届
- 弥生のかんたん開業届
どれも開業届の作成・提出は無料で、質問に答えるだけで書類が完成する。「税務署に行くのが怖い」と感じていた方も、自宅から完結できるので安心してほしい。
なお、その後に使う会計ソフト自体は基本有料となる。しっかり稼いで、気持ちよく納税しよう(笑)。
④「青色申告」か「白色申告」を選ぶ
白色申告: 記帳が簡単だが、節税効果は弱め。
青色申告: 最大65万円の控除など、メリットが大きい。今は会計ソフトのおかげで、かなり取り組みやすくなっている。

開業届と青色申告承認申請書は、同時に提出するのがベストだ。新規開業の場合、青色申告承認申請書は開業日から2か月以内に提出する必要がある。後回しにすると損をするので、開業届と一緒に出してしまおう。
青色申告の主なメリット(一部)
- 最大65万円の青色申告特別控除
- 赤字の繰越(最長3年)
- 青色事業専従者給与(家族への給与)
正直に言うと、私もまだ全部は使いこなせていない(笑)。ただ「控除」って難しそうに聞こえるが、慣れてくると大好きになる——これは保証する。
初年度は白色でも、という気持ちもわかる。それでも、ぜひ青色に挑戦してほしい。今の会計ソフトにはAI質問機能やサポートへの問い合わせも充実しているので、わからないことを聞きながら少しずつスキルを育てていける。
⑤ 事業用の口座を作る
事業用口座とプライベート用口座を分けるだけで、売上・経費の管理が圧倒的に楽になる。「あれ、これ経費だっけ?」と後で悩まないためにも、最初から分けておくのがおすすめだ。
口座の種類は、普通口座で問題ない。ネット銀行(PayPay銀行・楽天銀行・住信SBIネット銀行など)は手数料が安く、会計ソフトとの連携もしやすいので特におすすめだ。
口座名義は屋号+氏名にしておくと、請求書や振込の際にも見た目がきれいにまとまる。
⑥ クレジットカードを分ける
仕入れ代金・通信費・交通費・消耗品などを事業用のクレジットカードに集約すると、確定申告時の管理がぐっと楽になる。
個人事業主の場合、必ずしも事業専用の法人カードを作る必要はない。まずは個人用クレジットカードを1枚追加し、副業・事業専用として使うのがシンプルでおすすめだ。

- 普段の生活用カード:楽天カード
- 副業・事業用カード:三井住友カード
このように用途を分けておくだけで、プライベートの支出と事業の支出がひと目で区別できるようになる。
ひとつ注意点がある。開業直後はクレジットカードの審査が通りにくい場合がある。そんなときは、会社員としての社会的信用を活かしてカードを作成しよう。これが、副業をしながら会社員でいることのメリットのひとつだ。
なお、カードのポイントも事業用と私用で混在しないよう、できるだけシンプルに管理するのがおすすめだ。
⑦ 会計ソフトを導入する
freee・マネーフォワード・弥生を使えば、レシートの読み込み・自動仕訳・確定申告まで一括で対応できる。「簿記なんて勉強したことない」という方でも、十分使いこなせるので安心してほしい。
この3つが個人事業主の定番ソフトだ。それぞれの特徴を簡単にまとめておく。
freee 「簿記がわからなくても使える」 → 「とにかく簡単に確定申告したい」という方に。
- 質問に答えるだけで帳簿が完成
- スマホでも操作しやすい
- 初めての開業・確定申告向き
マネーフォワード 「家計簿アプリの延長で使える」 → 「将来も長く使いたい」という方に。
- 銀行・カード連携が強い
- 会計の仕組みも理解しやすい
- 事業規模が大きくなっても対応しやすい
弥生 「昔からの定番。安定感重視」 → 「定番ソフトを安心して使いたい」という方に。
- 個人事業主の利用者が非常に多い
- サポートが充実
- 確定申告機能がわかりやすい
- コストを抑えやすい
どれを選んでも大きな失敗はない。迷ったら、まず無料プランや無料期間で試してみるのがおすすめだ。私自身も最初は手探りだったが、使い続けるうちに少しずつ慣れてきた。完璧に理解してから始めようとせず、動きながら覚えていけばいい。
会計ソフト比較一覧
| 項目 | freee | マネーフォワード | 弥生 |
| 初心者向け | ◎ | ○ | ○ |
| 簿記知識がなくても使いやすい | ◎ | ○ | ○ |
| 会計の自由度 | ○ | ◎ | ○ |
| 簿記経験者の評判 | ○ | ◎ | ◎ |
| 操作のわかりやすさ | ◎ | ○ | ◎ |
| サポート・実績 | ○ | ○ | ◎ |
| 料金 | ○ | ○ | ◎(比較的安価) |
⑧ 領収書・レシートを保存する
PC・交通費・打ち合わせ代など、事業に関係する支出の領収書やレシートはすべて保存しておこう。「捨てなきゃよかった……」と後悔する前に、習慣にしてしまうのが一番だ。
今は会計ソフトのスマホアプリで撮影するだけでデータ保存できるので、財布がレシートで膨らむ時代は終わった。もらったらすぐにアプリで読み込む習慣をつけておくと、確定申告のときに慌てずに済む。
なお、領収書・レシートの保存期間は原則7年間(青色申告の場合)と定められている。紙で保管する場合はファイルにまとめておくと安心だ。
※「電子保存」の条件を満たしていれば、紙は捨てられる場合があります。
⑨ 売上が増えたら、消費税を意識する
最初は免税事業者からスタートする人がほとんどだ。ただ、インボイス制度が始まってからは、年商の金額よりも取引先が誰かによって対応が変わってくる。
相手が法人や課税事業者であれば、売上が少なくても早めにインボイス登録を意識しておくと安心だ。登録しないままでいると、取引先が仕入税額控除を使えなくなるため、仕事を受けにくくなるケースもある。
迷ったときは、税理士に相談するのも一つの選択肢だ。最近は初回無料で相談できる税理士も増えている。実を言うと、私はまだ登録していない(笑)。
⑩ 毎年「確定申告」を行う
確定申告は通常、2月15日〜3月15日に実施される。e-Taxはメンテナンス時間を除き24時間利用可能で、2026年の受付開始は1月5日(月)だった。会計ソフトで日頃からデータを整理しておけば、この時期に慌てずに済む。
確定申告では、1年間の売上・経費を集計し、納める税金を計算する。
会社員の副業でも、働き方によってルールが変わる
- パート・アルバイトなど雇用契約の場合(給与所得) 副業の所得が年間20万円以下なら確定申告は不要だ。
- フリーランス・個人事業主として開業している場合(事業所得) たとえ赤字でも、売上が少なくても確定申告が必要だ。開業届を出した時点で、このルールが適用される。
会社員+副業の方への大事な注意点
確定申告の際、住民税の納付方法は「特別徴収」と「自分で納付」の2択がある。必ず**「自分で納付」**を選んでほしい。これだけで、副業が会社にバレるリスクをほぼ防げる。私自身も18年間、問題なく続けられている。

知らずに放置しておくと、会社の給与から引かれる住民税が不自然に増え、気づかれる可能性があるので注意してほしい。
個人事業主になるための10ステップまとめ
副業開始 → 屋号・開業日を決める → 開業届+青色申告承認申請書を提出 → 事業用口座を開設 → 事業用クレジットカードを用意 → 会計ソフトを導入 → 売上・経費を記録 → 領収書・レシートを保存 → インボイス登録を検討 → 確定申告
補足:最初から法人化する必要はない
「個人事業主じゃなくて、最初から会社を作ったほうがいいの?」と思う方もいるかもしれない。
あくまで私個人の意見だが、最初は個人事業主として始めれば十分だ。会社員との二足のわらじでも、個人事業主としてのメリットはしっかり受けられる。
法人化を考え始めるタイミングは、一般的に売上が1,000万円を超えたあたりと言われている。法人化することで、節税・社会的信用の向上・経費として認められる範囲が広がるなどのメリットが生まれるとも言われている。
私自身はまだ法人化を経験していないので正確なことはお伝えできないが、まずは個人事業主として動き出し、売上が育ってきたタイミングで改めて検討すれば十分だと思っている。焦って法人化するより、まず稼ぐ仕組みをつくることが先決だ。
(開業時にかかる費用)
| 会社形態 | 自分で設立・開業 | 一般的な総額 |
| 個人事業主 | 0円 | 0円〜数万円程度 |
| 合同会社(LLC) | 約6万〜10万円 | 約6万〜15万円 |
| 株式会社 | 約20万〜25万円 | 約20万〜30万円 |
最後に
2026年は、AI・YouTube・会計ソフトのおかげで、個人事業主になるハードルが昔より圧倒的に下がっている。手続きに詰まったらAIに聞けば大抵のことは解決するし、税務署のサイトも以前より格段にわかりやすくなった。
「難しそう」「面倒くさそう」——その気持ちはよくわかる。私も毎年2月〜3月になると同じ気持ちになるから(笑)。
それでも、二足のわらじの恩恵は想像以上に大きい。大げさでなく、人生が変わる。だから、ぜひ挑戦してほしい。
一番大事なのは、「まず始めること」と「続けること」。

