好きなことを副業に Vol.1——未経験からウェディングカメラマンになるまで

副業

はじめに

副業について書こうとすると、つい熱くなってしまう。どこから書こうか迷うくらい、思い入れがある。

リベラルアーツ大学の両学長もよく言っている。「守る力・貯める力・増やす力に比べて、稼ぐ力がいちばん難しい」と。私もそう思う。

今、私は会社員をしながら副業を持っている。ただ正直に言うと、これは戦略の結果でも、努力の結晶でもない。本当に、たまたまだ。でも、その始まりには、忘れられない瞬間がある。今日はその話をしたい。

バイト3連敗——居酒屋、コンビニ、焼肉屋

オーストラリアから帰国し、派遣で営業事務を経て、転職。別の会社で営業として働き始めた。基本は土日休みで、妻は土曜日が仕事。「じゃあ土曜日、ちょっとお小遣い稼ぎでもするか」——そんな軽い気持ちだった。

まず居酒屋に応募した。面接の手応えは悪くなかった。落ちた

次に病院内のコンビニ。少しコンビニ経験もあったし、今度こそと思った。落ちた

そして近所でよく通っていた焼肉チェーン店。家も近い、メニューも知っている。また落ちた

3連敗。さすがにちょっとへこんだ。「飲食のバイトって、こんなに難しかったっけ?」と思いながら、ある日、ぼんやりと求人雑誌をめくっていた。

そこに、一行の募集があった。
「ウェディングカメラマン 募集」

えっ。えっえっ。やりたい。絶対やりたい。
今でも覚えている、あの感覚を。

映像との出会い——シドニー編

映像の学校に通ったことは一度もない。ただ、幼い頃からとにかく映画が好きだった。特にハリウッド映画。「映像を学ぶなら日本じゃない」——根拠はなかったが、その確信だけはあった。英語もろくに話せないまま、ワーキングホリデーでシドニーに飛んだ。

そこで運命的な出会いがあった。最初のホームステイ先のオーナーが、プロのカメラマンだったのだ。名前はMark。出会ってもう20年以上が経つが、今でも友人である。

Markのつながりで映像プロデューサーを紹介してもらい、オーストラリアンアイドルやリア・ディゾンのミュージックビデオ制作に、「ADのADのAD」というポジションで参加した。(要は、いちばん下っ端だ。笑)また、シドニーで年に一度開催されるショートフィルムの祭典「トロップフェスタ」に、Markとプロデューサーの力を借りながら監督として2本応募した。
ちなみに、少し恥ずかしいですが、これは私の作品のトレーラーです。
https://www.youtube.com/watch?v=xopWsx_OS3o

ただ正直に言えば、この時点でも「ただの映画好き」から脱してはいなかった。カメラ技術もなければ映像スキルも皆無。それでも、映像の世界の端っこに触れた経験が、確かに自分の中に残っていた。

ウェディングカメラマンへの挑戦

面接は、その場で採用になった。

居酒屋も、コンビニも、焼肉屋も落ちた私が、だ。今思えば、あの面接だけは目が違ったと思う。「絶対にやりたい」という気持ちが、顔ににじみ出ていたんだろう。他で落ちたことを嫌味っぽく言うつもりはないけれど——落ちて本当に良かった、と今は心から思っている。

ウェディングカメラマンの2種類を知っていますか?

意外と知られていないが、ウェディングのビデオカメラマンは大きく2種類に分かれる。

■ 記録カメラマン

結婚式・披露宴の一日を「ありのままに映像で残す」仕事。数年後に見返したとき、当日の感情も、笑い声も、涙も、そのままよみがえる——「人生の記録」を作る。

■ エンドロールカメラマン

結婚式当日に撮影した映像をリアルタイム編集し、披露宴のラストに流す「エンドロールムービー」を制作するカメラマン。当日の感動と笑顔を、映画のエンドロールのように届ける。時間との真剣勝負だ。

なお、スナップ写真のカメラマンは、動画とはまた別のジャンルになる。

私がスタートしたのは「記録カメラマン」だった。

電車代だけのトライアル期間——それでも、最高だった

採用とはいえ、最初の3か月はトライアル期間。デビューできるかどうかは、その後に判断される。つまりまだ「正式採用」ではなかったわけだ。

報酬は記憶の限りほぼ電車代のみ。それでも、不満はまったくなかった。

ずっと映画は観てきたのに、ビデオカメラを触ったことがなかった自分が、はじめてカメラを手にして、動く映像を撮れる。それだけで、楽しくて仕方なかった。「これが仕事になるかもしれない」という高揚感は、お金には換えられなかった

トライアル期間中、呼ばれてもいない撮影現場に自ら足を運び、カメラを触らせてもらいながら撮影技術を学んだ。今思えば、あの頃の「呼ばれてないのに現場へ行く」エネルギーが、すべての原点だったと思う。

そして3か月後——ウェディングカメラマンとして、いよいよデビューする。

次回 Vol.2——ウェディングカメラマン副業、スタート。そして怪しいオファー

デビューから約2年、横浜を拠点に撮影を重ねていた。副業が少しずつ形になってきた、そんなある日——思わぬところから、一本の連絡が届く。

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