はじめに
前回のブログでは、iDeCo の始め方や運用の詳細をお伝えした。
今回は、iDeCo の出口戦略 ― つまり「受取」についてだ。
iDeCo を完全に攻略するにあたって、ここがもっとも大切である。
目先の税額控除を得ようとして、受け取る際に何十万・何百万単位の税金を余分に払ってしまう可能性がある。ここだけは、しっかり理解してほしい。
私も当初は勘違いをしていた。
iDeCo は、運用中の利益は非課税だが、受け取る際には課税される。
一瞬、「どういうこと?」と思ってしまう。
結局、課税されるの?非課税なの?どっちなんだい!(笑)

簡単に言うと ――
・運用中(積み立て・増やしている間) → 非課税
・受け取るとき → 控除の範囲を超えると課税が発生する
その税負担をいかに抑えるか。そして、退職所得控除をどう活かし、自分のライフプランに合わせて受け取るか — それがiDeCoの出口戦略の核心だ。
最初に知っておくべきこと ― iDeCoはルールが変わる
iDeCoは度々ルールが改正される。2026年からも制度が変更され、受け取り方を考えることがさらに重要になった。
特に注意したいのが、iDeCoと会社の退職金を一時金で受け取るタイミングだ。どちらも退職所得控除の対象だが、近い時期に受け取ると、加入期間と勤続期間の重複などによって、退職所得控除をそれぞれ満額使えない場合がある。
覚え方としては、
- iDeCoを先に受け取る → 10年ルール
- 会社の退職金を先に受け取る → 19年ルール
ただし、実際の控除額や税額は、受取額・加入期間・勤続期間などによって変わる。受け取る時期が近づいたら、最新の制度を確認することが大切だ。
受取年齢について
iDeCoは、原則60歳から受け取れる(加入期間が短い場合は、受取開始年齢が後ろ倒しになることがある)。受け取り開始は75歳までの間で選択できる。
iDeCoの受取方法は3パターン
① 一括受取(一時金) → 退職所得控除が使える
② 年金受取(分割) → 公的年金等控除が使える
③ 併用(一部一括 + 残りを年金) → 両方の控除を組み合わせる

どのパターンが有利かは、公的年金(厚生年金・国民年金)の受取額、退職金の有無、iDeCo の加入年数によって、人それぞれ大きく変わる。
私のiDeCo:プロフィールと将来予測(会社員 兼 個人事業主)

現状(2026年時点)
| iDeCo開始:2021年4月 iDeCo資産残高:231万円 会社員:勤続年数16年(2026年現在) iDeCo運用年数:5年(2026年現在) |
2030年に会社員を退職した場合のシミュレーション
| 退職時の勤続年数:20年 退職金:120万円(ほぼ確定) 退職と同時に、iDeCoの掛金を23,000円 → 5,000円に減額 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)で運用継続・年利5%と設定 iDeCoを60歳(2038年)で受取時:iDeCo資産約600万円(概算) |
私の場合、厚生年金に加入しているため、公的年金+iDeCoを年金形式で受け取ると、合計額が多くなり税金が増えてしまう。そのため、一括受取を選択する。
私のiDeCo・退職金を組み合わせた受け取りシミュレーション(会社員 兼 個人事業主)
| 【退職金】 2030年に退職、勤続20年 → 2010年〜2030年 退職所得控除:20年 × 40万 = 800万円 退職金120万円 → 控除内に収まるため、税金ゼロ 補足:iDeCoとの重複期間について iDeCoの加入期間(2021〜2038年)と退職金の勤続期間(2010〜2030年)は、2021〜2030年の9年間で重複している。本来なら、この重複部分はiDeCo側の控除年数から差し引かれるはずだ。 しかし、退職金120万円は「20年 × 40万円 = 800万円」という控除枠のうち、実質3年分(120万円 ÷ 40万円)しか使っていない。控除の大部分が「未消化」のまま残っている状態だ。 税理士に確認したところ、私のケースでは、iDeCoの退職所得控除は加入期間17年分(680万円)と試算された。 【iDeCo】 加入期間:約17年(2021〜2038) iDeCo受取:60歳(2038年) iDeCoに使える控除額:17年 × 40万 = 680万円 iDeCo資産600万→ 控除内に収まるため、税金ゼロ |
改善できること
・iDeCoの掛金を増額する→ 控除枠(680万円)に対してまだ余裕(約80万円)があるため、無駄なく使い切れる
・受取の年齢をずらし、さらに控除を増やす→ 加入期間が延びるほど控除額も増える
参考までに、退職所得の「÷2」優遇とは
普通の給与や副業収入とは異なり、退職金やiDeCoの一括受取には退職所得控除がある。さらに原則として、控除後の金額の「1/2」が課税対象になるという税制上の優遇がある。
妻のiDeCo:プロフィールと将来予測(コンビニ アルバイト)

現状(2026年時点)
| iDeCo開始:2022年2月 iDeCo資産残高:486万円 アルバイトのため退職金なし・勤続年数の縛りなし iDeCo運用年数:4年(2026年現在) |
私の退職(2030年)と同時に掛金を減額した場合のシミュレーション
| 掛金を68,000円 → 5,000円に減額(2030年〜) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)で運用継続・年利5%と設定 iDeCoを60歳(2036年)で受取時:iDeCo資産約1,300万円(概算) |
妻は国民年金のみで、一時未加入期間もあるため公的年金はあまり見込めない。そのため、一括受取と年金受取の併用がベストな選択だ。
妻のiDeCo受け取りシミュレーション(コンビニ アルバイト)
| 【iDeCo】 加入年数:約14年 (2022〜2036) iDeCo受取:60歳(2036年) iDeCoに使える控除額:14年 × 40万 = 560万円 【併用受取】 iDeCo資産約1,300万円 560万円を一括受取 → 控除内に収まるため税金ゼロ 残り740万円を年金受取(SBI証券:5・10・15・20年から選択可) 【年金受取のシミュレーション(20年を選択した場合)】 740万 ÷ 20年 = 年間約37万円(月約3万円) 60歳〜64歳の間は、年金収入が年108万円以下であれば税金はほぼかからない(65歳以上は158万円が目安だが、妻の受取開始は60歳のため60〜64歳の基準が適用される) 月3万円(年36万円)+ 国民年金(少額)= 合計108万円以下に収まる見込み → ほぼ税金ゼロで受け取れる |
妻の場合の良い点
・一括+年金の併用で、控除を最大限に活用できる
・月3万円の年金が20年間続くため、老後の安定した収入になる
・退職金がないため、19年ルールの制限を受けない
・掛金のコントロール次第で、さらに長く控除の恩恵を受けることも可能
確認しておきたいポイント
| 補足:iDeCoの掛金拠出をやめる場合(=運用指図者になる) iDeCoは、掛金の積み立てをやめて、「運用指図者」になることができます。資産を引き出すわけではなく、運用だけを続ける形です。ただし、運用指図者の期間は、退職所得控除を計算する際の年数には含まれません。 また、条件を満たせば、再び加入者としてiDeCoの積み立てを再開することもできます。 補足:年金受取の税金について iDeCoを年金として受け取る場合は、公的年金等控除の対象になる。 ただし、実際の税額は年齢、公的年金やiDeCoの受取額、その他の所得、基礎控除などによって変わるため、受取時点の制度で確認することが大切だ。 補足:受取期間・受取方法は金融機関によって(2026年時点) SBI証券・楽天証券(ネット証券) → 年金受取期間:5年・10年・15年・20年から選択可 → 一括・年金・併用、すべて選択可 → 手数料が低く、投資商品も豊富 銀行窓口 → 受取パターンが固定・選択肢が少ない場合あり → 手数料やコストが高めの場合もあり → 元本確保型(定期預金など)の商品が中心の場合、長期運用では資産を増やしにくい |
まとめ
iDeCo は、次のすべてによって、最適な出口戦略が変わる。
- 国民年金か、厚生年金か
- 何歳で仕事を退職するか
- 退職金があるか、ないか
- どのくらいの利回りで運用できるか
- 受取時にルール改正がないか
だからこそ、一人ひとりが自分の状況に合わせてカスタマイズしなければならない。
ただ、その先には NISA 以上の恩恵がある。それが「控除」だ。
そして、将来プランをより具体的に考えることで、老後の不安も自然と減っていく。それもiDeCoの大きな効果だと思う。
将来いくらあれば安心できるか — まずはそこから考えてみてはどうだろうか。

「iDeCoの出口戦略まで完全攻略している人は、より選択肢のある人生を送ることができるだろう。」

