はじめに
私はずっと「暴落」を待っている。
手ぐすねを引いて、今か今かと待ち構えている。なのに、まったく来ない。いや、来ないどころか、逆に株価はどんどん上がっていく始末だ。
私が投資家人生で経験した「急激な下落」
私が投資を始めてから、相場が急激に下がったと呼べる出来事は、2025年のトランプショックくらいだろう(S&P500はわずか2か月足らずで約20%下落)。
当時の私はまだ投資経験も浅く、短期投資と長期投資のスタンスもしっかり定まっていなかった。結果として利益は出たものの、大きな機会損失を作ってしまい、今でも後悔として胸に残っている。
その後も世界情勢は何度も揺れた。それでも、相場は大きく崩れることなく、高値を更新していった。今回は、私が投資を始めてからの時系列を振り返ってみたいと思う。
コロナショック
2020年3月、世界はコロナショックに揺れていた。
だが、私はまだ相場にいなかった。旧NISAを始めたのも2020年後半。当時は、株価すら気にも留めていなかった。

それでも今、当時のチャートを見返すと、驚かされる。S&P500はわずか1か月で約35%下落。そこからたった5か月で回復し、そのまま上昇していった。
とにかく強烈な動きだった。
コロナショックの株価の特徴
外出自粛や渡航制限によって、人の移動や対面サービスに依存する企業は大打撃を受けた。
航空会社、ホテル、旅行、クルーズ船、商業施設……。株価は軒並み急落し、場合によっては半値以下になったところもある。
一方で、恩恵を受けた企業もある。
在宅勤務やオンライン化が急速に進んだことで、Web会議サービス、クラウドサービス、ネット通販、動画配信。こうした企業は逆に大きく成長し、株価も右肩上がりだった。
明暗がくっきり分かれた、まさに「コロナ相場」だった。
2020年11月 私の投資人生が始まる
2020年11月ごろから、旧NISAを始めたのと同じタイミングで投資を学び始めた。
きっかけは、高橋ダン氏のYouTube。まずTradingViewを使い始めた。チャートの見方、ファンダメンタル分析のようなもの。少しずつ、知識が増えていった。
高橋ダン氏が推奨する、長期投資と短期投資の運用スタイル。彼の考えるポートフォリオの組み方。短期投資の役割から、投資先(株、信用、FX、仮想通貨、コモディティ)まで、一通り学んだ。
さらには、彼が推奨する証券口座まで開設した。当時の私は、良いと思ったものは素直に取り入れていた。
2021年後半 インフレと利上げによる下落
コロナから続く世界的なインフレ。それを受けて、アメリカやヨーロッパなど主要国が金利を引き上げた。

2021年後半から、約10か月間。株価は下落を続けた。高値からの下落率は約25%。
そして2022年10月ごろ、ちょうど株価が底をついたタイミング。
当時の私は、高橋ダン氏のYouTubeを見ながら短期投資に重きを置き、トレードをしていた。ちょっと利益が出たことに気を良くして、「自分には才能がある」とすっかり調子に乗っていた。
その結果が、ナスダックの空売り。見事に「コツコツドカン」をやらかした。
2025年4月 トランプショック
そして忘れもしない、2025年4月。トランプショックが起こった。

とはいえ、S&P500の下落率は高値から約20%。リーマンショックの約▲57%やITショックの約▲49%と比べれば、下落率だけを見ればそこまで大きなものではない。
それでも私にとっては、これほど短期間で急激な下落を経験したのは初めてだった。
日々チェックしていたFear & Greed指数が3〜4。VIX(恐怖指数)が50近くまで急激に変動。市場は、ほぼパニック状態だった。
正直、心臓がバクバクしたのを今でも覚えている。
Fear & Greed指数とVIX、ちょっと解説
Fear & Greed Index(恐怖と強欲指数)
- 20前後以下(Extreme Fear):市場が悲観に傾いている状態。長期投資家にとっては購入を検討し始める一つの目安とされる。
VIX(恐怖指数)
- 30以上:市場の不安が高まっている状態。長期投資家にとっては買い場として意識されることが多い水準。
- 40〜50以上:市場がパニックに近い状態。過去には大きな暴落局面で見られ、その後の反発につながった例もある。
ただし、これらは「必ず底値になる」というサインではない。あくまで市場心理を把握するための参考指標のひとつとして、他の要素とあわせて総合的に判断することが大切だ。
2025年4月以降の世界情勢
トランプショック以降も、株価が大きく下落しても不思議ではない出来事が次々と起こった。
- 関税政策の継続と貿易摩擦の激化
- イスラエル・イラン情勢の悪化と中東戦争への懸念
- 原油価格の急騰とエネルギー供給への不安
- インフレの再燃と利下げ延期への警戒
- AI関連株を中心とした高い株価への警戒感
- バフェット指数など、株価の割高感を示す指標が歴史的な高水準に
これだけ悪材料が重なれば、「今度こそ株価は大きく下がるのではないか」と感じた人も多かったはずだ。だが実際は、調整はあっても、株価はどんどん高値を更新していく。
「暴落待ち」が広まるほど、暴落は来ない?
これはあくまで私個人の感覚だが。
以前に比べて、「暴落は絶好の買い場」という考え方が広く浸透した。SNSでも、「暴落待ち」という声をよく見かけるようになった。
相場は、ときに、多数の意見と反対の動きをする。
私を含めて、「みんなが暴落を待っているうちは、本格的な暴落は意外と来ないのではないか」と感じてしまう。
バフェットの言葉に立ち返る

ウォーレン・バフェットの有名な言葉だ。
“I have no idea what the market is going to do tomorrow, next week, or next month.”(市場が明日、来週、来月どう動くかは分からない)
結局、暴落がいつ来るのかを正確に予想することなど、誰にもできないということだ。
しかし……
一方で、このようなことも言っている。
“Occasionally, there will be major drops in the market, perhaps of 50% magnitude or even greater.”(時折、市場では50%規模、あるいはそれ以上の大きな下落が起こることがあります。)
暴落がいつ来るかは分からない。でも、いつか大きな下落はやってくる。
私たち個人投資家は、プロの投資家のように、決まった期間で利益を出す必要はない。
だから、気長に待てばいい。
わかっている。
わかっているけど——早く暴落よ、来い。

